こんにちは。
小田原市鴨宮(鴨宮中学校・国府津中学校エリア)の個別指導塾、個別指導ERです。
先日の理科の授業中、ある生徒からこんな直球の質問をされました。
「ねえ先生、どうしたら糖尿病になるの?」
ポテトチップスや炭酸飲料が大好きな中学生・高校生にとって、「病気」の話というよりは、どこか身近で、でもよく分からない都市伝説のようなものなのかもしれません。
「お菓子を食べすぎると血液がドロドロになるんだよ」と答えるのは簡単です。でも、せっかくの理科の授業。ここは「摂取カロリー」と「人間の体のしくみ(生命科学)」に結びつけて、少し深掘りして解説してみました。
今日は、そのとき生徒たちに話した内容をブログでもシェアします!
まずはみんながよく気にする「摂取カロリー」の話から。
理科の教科書(植物の光合成や動物の生活)を思い出すと、すべての生物は生きていくために「エネルギー」を必要としています。
人間は、ご飯やパン、お菓子などの「炭水化物(糖質)」を食べますよね。
これらは体の中で細かくバラバラに消化され、最終的に「グルコース(ブドウ糖)」という小さな糖になって血液中に吸収されます。
つまり、カロリーを摂るということは、「血液の中にエネルギー(糖)をチャージすること」なんです。
血液に吸収された糖は、そのままでは役に立ちません。筋肉や脳の「細胞」という工場に入って、初めてエネルギーとして燃やされます。
ここで登場するのが、理科の「生物」で習うホルモン、【インスリン】です。
インスリンは膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンで、例えるなら「細胞のドアを開けるカギ」。
インスリンというカギが働くことで、血液中の糖が細胞の中に入ることができ、血液中の糖の濃度(血糖値)が下がります。これが正常な体のシステムです。
では、本題の「どうしたら糖尿病になるのか?」です。
原因は大きく分けて2つの「エラー」が起きるからです。
- エラー①:カギ(インスリン)の作りすぎで膵臓がバテる
毎日、消費する以上にカロリー(特に糖質や脂質)を過剰に摂り続けると、血液中に糖が溢れかえります。すると体は「大変だ!カギをたくさん作らなきゃ!」と、インスリンをフル稼働で分泌します。これが何年も続くと、インスリンを作る膵臓が疲れ果て、カギを十分に作れなくなってしまいます。 - エラー②:細胞のドアの鍵穴がサビつく(インスリン抵抗性)
肥満や運動不足が続くと、細胞の側が「もうエネルギーは満タンだからいらないよ」と、インスリン(カギ)を受け付けなくなってしまいます。鍵穴がサビついて、ドアが開かなくなるイメージです。
結果として、「血液中に糖はたっぷりあるのに、細胞がエネルギーを吸収できず、血液が糖で溢れかえってしまう病気」。これが糖尿病(主に2型糖尿病)の正体です。
生徒たちには、この話を通して以下の「理科のつながり」を伝えました。
- 消化と吸収(中2・高生):食べ物がブドウ糖に変わる化学変化。
- 恒常性(ホメオスタシス)(高生):体温や血糖値を一定に保つ仕組み。
- 細胞の呼吸(中3・高生):取り込んだ糖と酸素を使って、生きるエネルギー(ATP)を生み出す仕組み。
「糖尿病」は、この精巧な体のパランス(恒常性)が、カロリーの過剰摂取や運動不足によって崩れてしまうことで起こる、まさに「生物学的なエラー」なんです。
「お菓子を食べるな」とは言いません。私だってチョコレートが大好きです(笑)。
でも、自分の体の中で、健気に「カギ」を作って糖を運んでくれている膵臓や細胞のドラマを想像してみてください。
「ちょっと今日はカロリーを摂りすぎたから、運動して細胞のドアを開けてあげようかな」なんて思ってもらえたら、理科教師としてはガッツポーズです。
身近な疑問から理科の仕組みが見えてくると、面白いですよね。

